ケーススタディ

介護事業の労務管理(ケース No.1)

私の事業所は現在登録ホームヘルパーさん4人と社員3人で運営していますが、ヘルパーさんは他の事業所と掛け持ちしているみたいで、採用して6ヵ月ぐらい経ちますが、勤務の運用が大変で、何とか新たにパートさんを2~3人雇いたいと考えています。契約の際、注意する点などを教えて下さい。

了解。では、関係する事柄を順にご説明いたします。

  1. その1:労働条件通知書のポイント
  2. その2:登録型ヘルパーさん年休のポイント
  3. その3:就業規則作成のポイント

その1:労働条件通知書のポイント

必ず書面で、説明して、相手に交付してください。

注意する点
  1. 「昇給の有無」「賞与の有無」「退職手当の有無」の項目がありますか?
  2. 「更新の有無」「更新の判断基準」です。
    「更新の有無」は、「更新する場合がある」「更新しない」「自動的に更新する」←絶対にダメ!!
更新の判断基準
  • 期間満了時の業務量
  • 勤務成績・態度等
  • 能力・知識等
  • 業務の進捗状況等e.経営状況等

例えば、その他の欄に、「当社スタッフとして適正ではないと判断した場合、また、事業の縮小その他会社の都合によりやむを得ない事由が発生した場合、事前に予告(30日前)の上、契約を終了します。」の規定を追加した方がリスクヘッジに!!!

採用は、会社としての考え方や説明の方法をしっかりと明確にしておきましょう。例えば、説明内容を一律にしてマニュアルを用意しましょう。面接担当者はそのマニュアルに沿って、チェックリストで説明内容を確認しながら実施しましょう。

  • 次回の更新時も同様に書面による説明と交付が必要です。
  • 一か月前には面談を行って、更新の有無について判断しましょう。
    成績等は具体的に相手が納得しやすい資料を用いて説明を行いましょう。
  • 同じ事業所にいる他のパートさんや他の事業所のパートさんと同じ方法で判断できていますか。相違のないように、注意してください。

その2:登録型ヘルパーさん年休のポイント

勤務して6ヵ月経つとしたら、「年休」が発生します。

  • 登録型のヘルパーさんも、「労働者」ですよ!
  • 一日4時間の勤務であっても、1日出勤となりますから、6ヵ月経てば、例えば週所定労働日数が1日あれば、年休1日発生します。
    こちらの表を参考に年休付与の日数をご確認ください。
  • 年間所定労働日数のカウントは、6ヵ月の労働日数の倍でカウントしてもかまいません。

  • 年休の許可制はだめですよ。年休は労働者の権利として発生しています。勤務割表が作れない状況であれば、「時季変更権」を行使して、事情等を説明して話し合いで調整しましょう。
年休付与日・確認表

年次有給休暇は、正社員 パート アルバイトなどの雇用形態に関わらず付与しなければなりません。

週所定労働時間が30時間以上または週所定労働日数が5日以上の従業員には、次の表による勤続年数による年次有給休暇付与日数となります。

パート、アルバイトの雇用形態にかかわらず付与されます。

勤続年数
6ヶ月
1年6ヶ月
2年6ヶ月
3年6ヶ月
4年6ヶ月
5年6ヶ月
6年6ヶ月以上
付与日数
10日
11日
12日
14日
16日
18日
20日

上記表に該当しない従業員の年次有給休暇 年次有給休暇の比例付与

  1. 週所定労働時間が30時間未満で、かつ、所定労働日数が4日以下の従業員
  2. 週所定労働時間が30時間未満で、かつ、年間の所定労働日数が216日以下の従業員 
週所定労働日数 年間所定労働日数
6ヶ月
1年
6ヶ月
2年
6ヶ月
3年
6ヶ月
4年
6ヶ月
5年
6ヶ月
6年
6ヶ月以上
4日
169日~216日
7日
8日
9日
10日
12日
13日
15日
3日
121日~168日
5日
6日
6日
8日
9日
10日
11日
2日
73日~120日
3日
4日
4日
5日
6日
6日
7日
1日
48日~72日
1日
2日
2日
2日
3日
3日
3日
その他参考事項
  1. 6ヵ月勤務⇒ア)1日6時間 週4日=年休7日 イ)1日8時間 週4日= 年休10日  
  2. 年休の賃金は、平均賃金・通常賃金(就業規則定め) or  標準報酬日額相当(労使協定)
  3. 16時間隔日勤務、一昼夜交替勤務=2日分の年休、2日分の平均賃金 (8時間三交代勤務は1日)
  4. 年休付与日数は基準日現在の所定労働日数にて付与日数が決まる。

その3:就業規則作成のポイント

パートさんを3人雇うと、従業員10人以上になりますね。「常時10人以上」の従業員になると、就業規則を作成して、届出が必要になります。

  • 常時10人以上とは、パート、アルバイト含めて、概ね、大体年間通じて10人以上、たまに7,8人にはなるという程度は、「常時」に含まれます。普段5,6人で繁忙期には10人以上になる場合は「常時」には含まれません。
    ※登録型ヘルパーさんも人数にカウントされますよ。
  • 社員用、パート用、登録ヘルパー用の3種類の就業規則を用意しましょう。
  • 準備の手順は大切ですから、キチンと手順通りに行ってください。
    [1]就業規則の作成 ⇒ [2]過半数代表者の意見聴取 ⇒ [3]労基署へ届出 ⇒ [4]従業員へ周知
  • 特に、 [4]の周知は、しっかりと説明して、個々人に配布するか、各仕事部屋にはっきりと所在がわかるようにしておきましょう。目にみえる場所に設置しておきましょう。

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