介護事業の労務管理(ケース No.4)
当事業所は勤務割表を1月前に作成し掲示してますが、いつも突然の年休申込みの職員がいます。ここのサービス提供の関係で休日出勤もあり代休付与の調整などもあるので、突然の年休申込みは勤務調整が大変で本当に困ってます。何か良い方法はありませんか。
了解。では、関係する事柄を順にご説明いたします。
その1:「休日」のポイント
- 労働者が労働契約において、「労働の義務を負わない日」のことです。
- 使用者は、週1日【原則】または4週4日以上【変形休日制】の休日を与えなければなりません。
※変形休日制とは、就業規則で4週間を通じ4日以上の休日を与える旨、及び起算日を規定、特定の4週間に4日の休日があればよく、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならないことではありません。
1w:1日、2w:なし、3w:2日、4w:1日⇒4日
5w:なし、6w:2日、7w:1日、8w:1日⇒4日
※2w,3w,4w,5wでみると、休日が3日になるけれど、違反ではありません。
4週間単位で付与されていればOK!
- 休日は暦日(午前0時~午後12時)が原則です。(8時間三交代制勤務は特例措置アリ。)
- 法定休日は所定労働時間はゼロ、特別休暇等は通常の所定労働時間としてカウントします。
- 休日=労働の義務がない日
- 休暇=労働義務が免除される日(年次有給休暇等)
休日の振替と代休の違い
①休日の振替とは、法定休日を労働日にして、他の特定した労働日を法定休日とする。
⇒日曜日(法定休日)と水曜日(労働日)を事前に振り返ること。
割増賃金なし。
- 就業規則の定め=休日の特定、36協定届出が必要。
ただし、振り替えた結果週40時間を超える場合は、割増賃金は必要。 - 振替休日の半日付与はできません。
②代休とは、事前の振替を行わずに、事後的に休日を与えること。
休日労働した分の割増賃金、法定休日135%、法定外休日125%必要。
⇒代休を与えた場合は、法定休日の場合35% (135%-100%) 法定外休日の場合25% (125%-100%)
- 代休対応は、法定休日か法定外休日かで対応が変わります。
- 代休制度は労使合意の上、就業規則の定めが必要。
⇒半日・時間付与等可
介護事業は⇒1ヵ月単位の変形労働時間制+変形休日制⇒勤務割表で事前に休日調整。
その2:変形労働時間制のポイント
1ヵ月単位の変形労働時間制とは
1ヵ月以内の一定の期間について、平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間(40時間、介護事業で9人以下は44時間)を超えなければ、1日8時間又は1週40(44)時間超えて労働できるシステムです。
⇒1日8時間を超える労働でも時間外割増手当の支給は不要。
以下の内容をキチンと理解し、規定しましょう。
就業規則に
- 変形期間(1ヵ月以内の一定期間)
- 変形期間の起算日
- 変形期間の各日各週の労働時間 (始業・終業時刻、所定労働時間)及び休日
- 変形期間を平均して1週間あたりの労働時間が法定労働時間(40又は44時間)を超えない定め
※使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することはできません。
ただし、介護事業など「勤務割表」にて労働日等を特定する場合は、キチンと勤務シフトの始終業時刻、シフトの組み合わせ方、勤務割表の作成手続き・その周知方法、勤務変更の具体的な事由(限定列挙)を規定すれば制度化して運用できます。
※安易な勤務変更は注意しましょう。
※労使協定の定め⇒労基署届出必要。
その3:年休の計画的付与のポイント
突然の年休請求を解消するのであれば、この計画的付与が効果的です。
- 計画的付与は5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しましょう。
- 労使協定で計画的付与の対象となるのは5日を超えた部分となります。
※10日の従業員⇒5日、20日⇒15日までが計画的付与対象の日となります。
また、前年度取得せずに繰り越された日数がある場合、この繰り越された日数も含めて対象とします。40日⇒35日
活用方法には以下の3種類の方法があります。
- 事業場全体の休業による一斉付与方式
- 班・グループ別の交替制付与方式
- 付与計画表による個人別付与方式
1は、一斉にお休み、製造部門が多く、顧客に迷惑のならない時期に利用するケースが多いようです。
2は、定休日を増やすことが難しい事業場などで利用されているケースが多いようです。
3は、個人毎の計画付与ですから、誕生日や結婚記念日などに利用されるケースが多いようです。
その他にも、
- 夏季、年末年始に、大型連休。
- ブリッジ(飛び石休日埋め)ホリデーとして、3、4連休。
- メモリアルホリデー(誕生日等の休暇制度) 等々。
計画的付与制度の導入手続き
計画的付与制度の導入手続きは、
- 就業規則による規定
- 労使協定の締結
が必要です。
終業規則の規定例
「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする。」
と定めます。
労使協定で定める項目
労使協定で定める項目は、
- 計画付与の対象者又は対象から除く者
- 年次有給休暇の日数
- 計画的付与の具体的な方法
- 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
- 計画的付与日の変更 (あらかじめ変更が予想される場合の手続き)
について定めます。
この労使協定は所轄労基署への届出は不要です。
この計画的付与は、労働者の時季指定権、使用者の時季変更権は行使できません。注意してください。
業務内容
京都人事 社労士コラム
- 2024.11.15
- 【ニュースレター10月号】解雇規制緩和について考える
- 2024.11.15
- 【ニュースレター9月号】これからの採用において曖昧にできない労働条件
- 2024.11.15
- 【ニュースレター8月号】マイナ保険証への移行についてのQ&A
- 2024.08.19
- 【ニュースレター7月号】雇用保険法改正による適用拡大等について
- 2024.08.19
- 【ニュースレター6月号】会社の飲み会に残業代を支払うべきか
対応エリア
- 京都府京都市
- 京都府福知山市
- 京都府舞鶴市
- 京都府綾部市
- 京都府宇治市
- 京都府宮津市
- 京都府亀岡市
- 京都府城陽市
- 京都府向日市
- 京都府長岡京市
- 京都府八幡市
- 京都府京田辺市
- 京都府京丹後市
- 京都府南丹市
- 京都府木津川市