ケーススタディ

介護事業の労務管理(ケース No.6)

当事業所には現在4歳の子供を抱えている女性社員と小学校1年生の子供を抱えている女性パートがいますが、児童を抱えながらの仕事は大変やし、土日勤務なしとか、勤務時間を短縮してほしいとか2人で色んなことを要求してきて、もう頭の中がぐちゃぐちゃで、どうしましょう。

了解。では、関係する事柄を順にご説明いたします。

改正育児介護休業法のポイント

平成24年7月1日からこれまで適用が猶予されていた以下の制度が100人以下の事業主にも適用されます。

短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)
  • 3歳に満たない子(3歳に達するまで)を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければなりません。(義務)
  • これは運用で行われているだけでは不十分で、就業規則等に規定されていなければなりません。
  • 短時間とは、1日の労働時間を原則として、6時間(5時間45分~6時間まで)とするものです。
    1ヵ月単位の変形労働時間の場合、平均した労働時間が6時間ではありませんので注意してください。

対象となる従業員は以下のいずれにも該当する男女従業員です。

  1. 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと。
  2. 日々雇用される労働者ではないこと。
  3. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと。
  4. 労使協定により適用除外とされた従業員でないこと。

    ※労使協定により適用除外とする内容は、
    ア.引き続き雇用された期間が1年に満たない従業員
    イ.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
    ウ.業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講じることが困難と認められる業務に従事する従業員


    ◎上記ウに該当する従業員を適用除外とした場合、代替措置として、
    a)フレツクスタイム制度
    b)始業・終業時刻の繰上げ繰下げ<時差出勤制度>
    c)保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与<ベビーシッター費用の負担等>
    d)育児休業に関する制度に準ずる措置

    のいずれかの制度を講じなければなりません。

  5. 管理監督者ではないこと。

所定外労働の制限

  • 3歳に満たない子(3歳に達するまで)を養育する従業員が申し出た場合は、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。(義務)
  • 対象となる従業員は、3歳未満の子を養育するすべての男女従業員(日々雇用者は除く)が対象となります。

※ただし、労使協定により、適用除外となる従業員は以下の通りです。

  1. 勤続年数が1年未満の従業員
  2. 週の所定労働日数が2日以下の従業員

この所定外労働制限の申し出は、1回につき、1ヵ月以上1年以内の期間について、開始年月日と終了年月日等を明らかにして、開始予定日の1ヵ月前までに、事業主に申し出る必要があります。また、この申し出は何回もすることができます。

介護休暇

  • 要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う従業員は、申し出により、対象家族が1人であれば、年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することが出来ます。
  • この休暇は年次有給休暇とは別に与える必要があります。
  • 「要介護状態」とは、負傷、疾病、又は身体上若しくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態を言います。
  • 「対象家族」とは、配偶者(内縁の妻含む)、父母及び子配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫となります。
  • 「その他の世話」とは、対象家族の通院等の付添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行等の必要な世話のことです。

  • 対象となる従業員は、対象家族の介護、その他の世話をするすべての男女従業員(日々雇用者は除く)が対象となります。

※ただし、労使協定により、適用除外となる従業員は以下の通りです。

  1. 勤続年数が6ヵ月未満の従業員
  2. 週の所定労働日数が2日以下の従業員

子の看護休暇の拡充

改正前は労働者1人当たり年5日の取得が可能でしたが、子1人で5日、2人以上であれば10日取得となりました。

子供の予防接種や健康診断でも取得できます。

父親の育児休業取得の促進

『パパ・ママ育児プラス』イクメン
父母共に育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長

例えば、母親が産休から1歳まで育児休業をとったときに、母親が職場復帰する時期に父親が1、2ヵ月育児休業をとれるようにすること、これで母親の復帰もスムースにできることになります。

出産後8週間以内の父親の育児休業の再度取得の促進

改正前は育児休業は1回限りが原則でしたが、産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合は再度の取得が可能となりました。

  • 子が3歳から小学校就学前であれば、短時間勤務制度や所定外労働の制限は、努力義務を果たすことになります。
  • 小学校就学前までは、時間外労働の制限や深夜業の制限、子の看護休暇の付与の義務はあります。

小学校の児童を抱える女性社員に対する勤務時間上の配慮は法律上特に求められているものはなく、他の社員とのローテーションに組み込むことは何ら問題はありません。

しかし、実際の育児や家事の負担が大きいなか、次世代育成支援対策の実施によって、労働者の職業生活と家庭生活との両立が推進され、今後も必要な対策を講じることが重要と思われます。

その際、「両立指標に関する指針」を活用されるのも効果的と思います。
両立診断サイトは以下の通りです。

http://www.ryouritsu.jp/

制度ごとの適用除外の内容についての資料をまとめましたので、こちらも参考にしてください。

育介法適用除外・雇用形態別比較(PDFファイル)

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